IVRCに参加した話(~SEED stage編)
はじめに
この記事は投稿される2か月くらい前に書いたものです。一応Leapステージが終わってからのほうがいいのかなと思って温めておきました。
この時の僕はLeapステージに進出できるとは知る由もなかった...
IVRCとは
「学生を中心としたチームでインタラクティブ作品を企画・制作するチャレンジ」(公式より)
主にxR技術を用いた作品が出展されています。今回のSEED stageでは23チーム+復活枠4チームが出場しました。審査を通過するとLEAP stageに進むことができます。
制作したもの
僕の所属したチームでは『自宅でも遭難がしたい!』という作品を展示しました(どこかで聞いたことあるような...?)。この作品ではリアルな遭難を体験することができ、実際に登山をしないと気づかないような体の変化や危険を感じることができます。
やっぱり遭難という実際には体験できない(というかしたくない)ものでも簡単に体験できるのがVRの面白いところですよね~
ちなみにこのアイデアは、メンバーの中学校の時の先生が山で遭難して、暗闇の中石を投げることで方向を確認しながら自力で山を降りた、というぶっ飛んだエピソードから発案されました。
実装した機能
足踏みで移動
Viveトラッカーを2つ使い、足踏みでの移動を実装しました(本当はHaritoraを使いたかった)。実際に足を動かすことで没入感と疲労感を高めることができました。
疲労度に応じた身体の変化
1. 身体が重くなる
体験者にリュックを背負ってもらい、疲労度が溜まるとポンプによってリュックの中の容器に水が流れ、徐々に身体が重くなっていきます。
水を使うということもあり、何度かブルーシートが水浸しになったりもしました。また水が流れる速度や量は何度も調整しました。
2. 身体が冷えてくる
首に装着したペルチェ素子によって低体温症による身体の冷えを再現します。首元を冷やすだけで結構寒さを感じます(個人差あり)。
また低体温症による手の震えをモーターで再現しています。疲労度がしきい値を超えるとモーターが動き出します。
3. 目が見づらくなる
URPのPost processingを使って疲労度による視界の悪化を再現しています。Depth of fieldで目がぼやける感じを出し、Vignetteで視界が狭まる感じを表現しました。
4. 音がぼやけてくる
UnityのAudio Filterを使って高い周波数と低い周波数を削っていくことで音がぼやける感じを表現しています。
僕(にと)が担当した部分
僕たちのチームはソフト班とハード班に分かれて開発をしました。
僕は主に植物のグラフィック関係を担当しました。↓のような感じです。
- 草のグラフィック
ShaderGraphを使ったリアルな草の作り方① ~Blenderでメッシュを作る~ - にとのーと
- 草を手でかき分けたときの動き
- URPのライティング設定
- 虫のVFX
- タイトルシーンのステージ作り
- ステージのパフォーマンス改善
この他にも、出没動物のアニメーション、方向指示UI、アイテムの見た目、アイテムの取り出し、手のアニメーションなどを担当しました。
体験審査会
9月3日、東京のポートシティ竹芝で体験審査会がありました。先輩二人と僕の計三人で参加し、組み立てからアテンドまで協力して取り組みました。
いきなりトラブル発生...
最初の体験者でなぜかトラッカーが反応しなくなるというバグが発生。さらに二人目の体験者のときにはOculus Linkができなくなり、PCの再起動をすることになりました。正直ここで心折れかけました...。
なんとか持ち直した
その後は大きな不具合が起きることなく、順調に体験していただくことができました。毎回ペットボトルに入った水を容器に戻す作業があるので自分たちの疲労度も順調に溜まっていきました。
嬉しいことも
体験したあとに感想やフィードバックをいただけるんですが、そのときにハード部分はもちろんのこと、「草をかき分けるのが楽しい」や「山の雰囲気がリアル」など自分が携わった部分が褒められて泣きそうなくらい嬉しくなりました。
他チームの作品
審査が終わった後、他の参加チームの作品を体験することができました。僕が体験したのは『壁歩き体験~ヤモリになろう!~』という作品で、その名の通りヤモリになって床を這ったり壁を歩いたりするというものでした。バランスボールを回すことによって、確かに「登っている」という感覚があり、高いところに登ったときのスリルも味わえて楽しかったです。
感想
IVRCのような大学外のイベントに出場するのは初めてなのでとてもワクワクしながら開発に取り組むことができました。ハードウェア部分と連携した開発というのも初めてでしたが、VRと装置が連携して動いているのを見てVRの無限の可能性に感動しました。体験会では実際に体験してもらって感想やフィードバックをいただけたり、他の参加者との交流もあったりして良い経験になりました。また個人的なことを言うと、今までゲーム開発においてコードを書くことにしか興味がなかったのですが、今回「リアルな」体験を制作するにあたってグラフィック関連にもこだわることができたので楽しかったです。特にShaderGraphやVisualEffectGraphは今後のゲーム開発でも大きな武器になると感じました。
最後に
IVRCを運営していただいている方々、メンバーとして誘ってくれた先輩、一緒に開発に携わったメンバーに感謝。
LEAP stage通ってほしいな~